2010-02-24

シューベルトの音楽

もう2月も終わりに近くなってしまいました。
目下シューベルトに夢中です。
どうやったらこんな天然の蜂蜜のような甘い美しくこころの優しいメロディが生み出せるのでしょう。シューベルトの音楽は決して気難しくないのでふと口ずさんでしまいそうになるのですが、彼はその同じメロディーの繰り返しにふと不思議なハーモニーを響かせ「え!なぁ~に?」という暇もあたえず風のように過ぎ去っていきます。すると木の葉が一瞬陽の光を浴びて翻るように音楽の流れにきらめきが起こります。演奏家はその一瞬の奇跡も見逃すわけには参りません。
私は「未完成交響楽」をベルリンフィルでふったカラヤンを思い出します。彼はじっと指揮台に立って腕をあげます。垂れ下がった指先、微動だにしない彼の立ち姿、聴衆は何が起こるかとその姿に惹きこまれます。するとその中指の先、本当に先だけがかすかに揺れ、その微細な揺れに呼応して本当にオーケストラからかすかな音楽が流れ出してきました。「そうだ、この未完成の始まりはこんなにも微妙なのだ」と私はシューベルトのピアニシモを知ったのでした。
また本当にニコニコしたくなる流れに忽然と波が起こり始め、それは鬼気を感じさせるほどの緊張に聴衆を巻き込みます。でもベートーベンのそれとは違います。そしてそれは音楽会場でしか体験できないものなのです。

続きは次の号で書きましょう。。。

室井摩耶子

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