2010-12-27

新居の暮らし初め


引越し騒ぎがすこし落ち着きました。
家中に一杯だったダンボールの山が漸く無くなって(本当にどこにこんな荷物があったのだろうと思うほどダンボールの山でした)ピアノの部屋が部屋らしくなりました。
そしたら今年はもう余すところ4日!! 全くそれを考えると又々頭が混乱してしまいます。頭は一つなのに物を片付けるということとピアノを弾くということは、全く別の部門が働いているらしくピアノを弾くということとはほとんど2ヶ月離れてしまいました。
同様10月のピアノの音楽会のために家のことなど何も考えられず全て「よきに計らえ」式にやったので一寸すごい家が出来上がりました。
今になって「よかったのかしら?」などと辺りを見回している始末です。なにしろ隣から家を建てる第一歩から見ていたので「これが家を作るということか」と文字通り興味津々でした。
草茫々の林が1本の木も無くなって光る黒土が出てきたあの驚きから今や枯山水の石庭を見ながらピアノをちんまりとみえるスタジオに座っているとこれでも同じ成城に暮らしているのかとふと思ってしまう。
さて新年になってもうしっかりと腰を落ちつけてピアノの生活に戻らなければ6月5日の卒寿の音楽会を思うように弾けないともう一度すごい決意のもとに新年に突き進んでいくつもりです。
そのうち また新居の住み具合を報告申し上げられるでしょう
最後になりましたが皆様お揃いで良いお年をお迎えになります様に…


室井摩耶子

2010-11-12

初めてのお引越し

ピアノに夢中になってるあいだに前庭にどんどんと建物が広がり伸びてようやく家らしい形態を整えてまいりました。
なにしろ片や朝から晩までドンドンピロピロとピアノの音、もう片方はギリギリカンカンビョ~ンと家の建つ音(朝7時から夕方7時まで!!!)
もし、モグラが住んでいたとすれば耳を押さえてウロウロと逃げ惑っていたことでしょう。何しろ、あの匂い立つような光り輝く黒土の時から、地面いっぱい敷き詰められた砕石そしてコンクリート編み上げられた鉄骨が敷かれニョキニョキと立つ柱、家がだんだん建っていくプロセスを見ているのは、なかなか面白うございました。でもお引越しのことやこれからの生活様式(何しろ私は今まで二階家と言うのに住んだことがないので)を考えると頭が痛くなります。でも、みなさんが「御楽しみですね」と言ってくださいますので、移転したら嬉しいのだろうと想像いたしております。

と言うことを前に下書きしておいたのですが引越しの準備で日が経ってしまって家も完成に近づきました。これから引越し本番です。ヤレヤレ!!!
室井摩耶子

2010-10-21

ピアノの音

すっかりご無沙汰いたしました。
10月8日に漸く第22回目のトークコンサートを済ませ、人心地が着いたところです。曲目はベートーヴェンの第17番〝テンペスト〟とシューマンの〝子供の情景〟でした。何時ものことながら、もう何回も弾いた曲にもかかわらずその作曲家やその曲についても新しい側面を見せてくれて、毎回どうしてこんなことを知らなかったの?とハラハラドキドキの連続です。そうして知った心の深い揺れは、それをどのように聴いてくださってる皆様にお伝えできるか、ご一緒に音楽の感動に身をゆだねる事ができるかは簡単なことではございません。
それにしても、こうやってベートーヴェン(確固とした構成的な音楽)とシューマン(ドイツロマン派)の曲を研究してみると、ピアノという楽器は何て複雑な表現力を持つ楽器だろうと驚嘆してしまいます。
この2曲ともサイゴはサヨナラと霧の彼方に消えていくPP(ピアニッシモ)ですが
そのPPは「小さな音」と言う言葉の範疇を超えた〝響き〟が要求されるのです。それでないと〝物語〟の終焉と言う心理は表現されないのです。ピアニストはその為の訓練されたタッチ、その音を分別する聴覚、その意味を汲み取るデリケートな神経の集中、その他々と集中力を詰め込んだ練り上げる時間がうんと要るというわけです。本当に音楽ってなんと不思議なものでしょう。
それを得る喜びが私の命を支えてくれるのかもしれませんが......

室井摩耶子

2010-09-07

新しいCD

5月8日の白寿ホールでのライブCDが出来上がりました。
曲目は皆のよく知っているモーツァルトのトルコマーチつきピアノソナタ変イ長調KV311とシューベルトの4つのアムプロンプチュOp90です。
この2つのポピュラーな曲はしばしば至極安直に粗雑に弾かれてしまいますのでこれらの曲の持つ本当に繊細な美しい姿を知ってほしくプログラムに組んだのでした。
音楽会のライブ録音は会場の雰囲気を知っていただきたくそのままに一枚のライブCDに出してましたが、この度は新しい試みとして一曲ずつ別の盤に入れ長いトークをつけました。タイトルは〝演奏の秘密。〟その長いトークにどのようにして音楽の波が滔々と流れを作っていくかそのトリックが音と一緒に入っております。
音楽って不思議なもので、聴いている人たちに歓びや悲しみ、たまらない美しさ、明るさ、深い静寂さや天まで躍り上がりたくなるような感動を与えます。
どうしてそういったものを表現できるのかは研究すればするほど広く深く際限もないものですが、それらはいつも音と一緒でなければ納得することが出来ません。それでそのためにはCDが一番都合がいいことを思いついたわけです。そしてそれにつける演奏は〝その結果〟を聴かせるものでなければなりません。というわけで私はピアニストにとって一期一会のチャンスであるライブ録音を使ったのです。
これがピアノを弾く方たちや音楽を楽しもうと願っている方たちに何らかのお役に立てたらと思います。もし、このCDをお聴きいただけましたらご意見・ご感想をお聞かせ願えれば本当に嬉しいことでございます。

室井摩耶子

2010-08-16

我が家の庭

今ウチの前庭は新しい我が家を建てるためにテンヤワンヤの騒ぎです。
大体ウチの庭は何十年もまえに植えた木と鳥たちが勝手に落としていった種が
雑然と生い茂っていてその上に雑草がぼうぼうと生い茂っていてまったく梁山泊の様子でした。
それがウチをたてるために、或る日すべて根こそぎ抜かれて平地になってしまったときはビックリしました。
そしてこの土地は昔から畑地であったためとてもよい土なのですが それが50坪も湿った黒土で露でピカピカ光っていたり私はその美しさに感激してしまいました。土も覆いかぶさっていたものが取れて漸く新鮮な空気に触れる歓びににおい立っているようでした。私はその開放された土に思わず「今まで閉じ込めておいてごめんね」と言ってしまいました。
そしてこの上にまた家を建ててまた覆ってしまうのかと思うと一寸悲しくなりました。
続きはまたこんど、、、、
室井摩耶子

2010-06-17

梅雨の候


もう梅雨の候となってしまいました。
私は雨の日は好きなのですが、急に寒くなったり陽が照ると蒸し暑くて“どちらかにしてくれよ・・・・”なんて叫びたくなってしまいます。庭の草はどんどん伸びますし、どくだみの白い花が絨緞を敷きつめた様です。  わたしのピアノのカレンダーは7月の演奏旅行 10月11日の演奏会と目白押しでして、シューベルト シューマン モーツァルト ベートーヴェンとそれぞれが各々の音楽語でお喋りをするので目が回りそうです。シューマンの「子供の情景」(10月の分)は久しぶりに取り上げたのですが、こんなに可憐でおまけにお喋りだったかしらと新境地を楽しんでいます。

室井 摩耶子

撮影:中村 太

2010-05-17

音楽会の後で

漸く五月八日の音楽会が終わりました。
おかげさまで切符完売で、いらして下さった方々にご迷惑をおかけしてと恐縮しております。
此方はホッとしたり、ちょっとグダ~としたりというところです。でも音楽のほうは
とても感激したの、楽しかったのと色々いっていただき本当に嬉しいことでした。
音楽というのは不思議なものでどこでどうなるのかよくわかりませんが(今日の科学をもってしてもわからないようです)人の気持ちがよく伝わります。ドイツ語でムジツィーレン(音楽をする)という言葉がありますが音楽会場の中では演奏者と聴衆の気持ちは一緒に燃え上がったり沈み込んだり致します。この間の音楽会でも私は聴き込んで下さっている会場の皆様の雰囲気がステージに押し寄せてくるようで、とても嬉しかったというか、一緒に音楽にのめりこみましょうと言う気持ちになりました。だから終わった後ピアノが話しかけてくるようだったと興奮冷めやらぬ面持ちでおっしゃっていただいて、何か天にも昇るような気持ちが致しました。音楽にひたすら打ち込んで、ああかこうかと苦しんでいるときは結構大変なものですが、皆様と一緒に音楽を楽しめたときは本当に幸せと思います。凄い作曲家たちのメッセージは美しく際限なく深くこれからもそのすばらしさに近づこうと渾身の努力をして参るつもりですが、皆様の温かいご支援を今後ともよろしくお願い申し上げます。
室井摩耶子

                             

2010-04-05

さくらの便り第2号 


桜で去年きれいな写真があったのを思い出しました。きれいですよ。お見せしましょう。

2010-04-02

桜の頃

また家の前の桜の爛漫のころがやってきました。
何年か前のこと街路樹のさくらの枝が伸びて我が家の屋根に届くようになってしまいました。それはそれは美しい桜ですがでもちょっと短くして貰いましょうと役所に頼みました。
ところが切りにきた公園課の人がなにかブツブツ・・・・
「咲いている時には喜んで楽しんでいる癖に葉が茂るときってくれって言うんだからブツブツ・・・。
ねー桜切るバカ梅切らぬバカっていうの知ってますか?」嫌味たっぷりだったがウチの梅はボーボーに伸びっぱなしだったからまったく恐縮してしまいました。
大きな桜の木陰といえば、この木の下に一時研ぎ屋さんが車をとめて商売をしていたことがありました。当時ちょうど音楽会の前だったのでしょう、私はそんなギイーギイーいう音もなんのその。シューベルトの美しいメロディを繰り返していました。夕方になるとその研ぎ屋さんができた刃物をもって玄関に現れました。「ね、あんまりきれいな音なので俺、ききほれてもうちょっとで指を研いでしまうところだった」御用聞きを済ませたおかみさんもよってきてニコニコしながら「本当にここは音楽会の最上席だよ、でもお前さん気をつけておくれよ・・・」桜を見上げながらでもあの研ぎ屋さん夫婦がこなくなってから何年たっただろうと思う。私は相変わらずあのピンクの傘のもとにあでやかでつやっぽいシューベルトを響かせているのに・・・・。あの最上席の聞き手夫婦さんたちはまた戻ってきてくれないかなとふと感傷的になりました。
室井摩耶子

2010-02-24

シューベルトの音楽

もう2月も終わりに近くなってしまいました。
目下シューベルトに夢中です。
どうやったらこんな天然の蜂蜜のような甘い美しくこころの優しいメロディが生み出せるのでしょう。シューベルトの音楽は決して気難しくないのでふと口ずさんでしまいそうになるのですが、彼はその同じメロディーの繰り返しにふと不思議なハーモニーを響かせ「え!なぁ~に?」という暇もあたえず風のように過ぎ去っていきます。すると木の葉が一瞬陽の光を浴びて翻るように音楽の流れにきらめきが起こります。演奏家はその一瞬の奇跡も見逃すわけには参りません。
私は「未完成交響楽」をベルリンフィルでふったカラヤンを思い出します。彼はじっと指揮台に立って腕をあげます。垂れ下がった指先、微動だにしない彼の立ち姿、聴衆は何が起こるかとその姿に惹きこまれます。するとその中指の先、本当に先だけがかすかに揺れ、その微細な揺れに呼応して本当にオーケストラからかすかな音楽が流れ出してきました。「そうだ、この未完成の始まりはこんなにも微妙なのだ」と私はシューベルトのピアニシモを知ったのでした。
また本当にニコニコしたくなる流れに忽然と波が起こり始め、それは鬼気を感じさせるほどの緊張に聴衆を巻き込みます。でもベートーベンのそれとは違います。そしてそれは音楽会場でしか体験できないものなのです。

続きは次の号で書きましょう。。。

室井摩耶子

2010-01-23

ラジオとTV

1月に入ってNHKの(25日 世の中面白研究所 小堺一機さん ラジオ第1 よる8時33分ごろ~55分まで放送)の収録、NHKテレビ 26日朝 生活ホットモーニング用のビデオ収録と続いたのでイササカのびました。でもつくづくテレビやラジオの仕事って大変なのだと思いました。放送は数多くのチャンネルで絶えず流されている訳ですが(本当に何気なく付けたり消したりしていますが)その間の30分足らずのためのエネルギーは想像を絶するものです。テレビも放映は約5分ぐらいと聞いていますが 打ち合わせ そしてカメラマン2人とプロデューサー、そしてアナウンサーがはりついての5時間にわたる撮影。その間のスタッフの方たちのプログラム構成のためのエネルギー・・・!!! それがとっかえ引きかえ 24時間も違う種類のもので視聴者の気を引いていくのですから本当に凄い事とNHKの廊下を歩きながら考えました。
続きは次号で。
室井 摩耶子