2009-08-24

〝生きててよかったぁ~〟

 暑い暑いと言っているうちにふっと空気がさわやかになり、あぁ秋だなと感じさせる気候となりました。
 6月には米寿の音楽会を致し あまり年のことを考えず「それ誰のこと?」なんて言っていた私も、すっかり烙印を押されたこのごろです。でも私と音楽との関係は、相変わらず〝すったもんだ〟と 揉みあいを続けつつ、新しい発見々と喜んでいる境地です。やればやるほど、音楽って何て不思議なものだろうと思わせられる場が多くなります。 音楽会ごとに、皆様から寄せられる「あんな魅力的なバッハは聴いたことがない。まるでバッハ自身が出てきて、話しかけてくれたみたようでした。」とか「あのベートーヴェンの最後のソナタは凄かったぁ」などとお便りをいただき、やっぱり〝生きててよかったぁ~〟と嬉しくなってしまいます。本当に人間が年をとるって何なのでしょう? 毎日毎日をトンカチトンカチと、もっと深い音や響きは出ないかしら。作曲家はここで、まるで森の彼方にサヨナラ…サヨナラと姿を消すのに、そのお別れの静寂さってもっと深いんじゃない?などと、言いながらピアノに指を滑らしているだけなのです。毎日 手や指によくやってくれてありがとうと言ってるだけなのです。でも考えてみたら、私を囲むたくさんの方たち、たくさんの現象が私にいろいろなことを与えてくださってるのですよね~。
 9月1日にはお弟子さんたちが私の米寿のお祝いの音楽会をして下さいます。私は彼らが、その後の境遇、経験、そして音楽の積み重なったプロセスを、どんな風に私に話しかけてくれるか、それを聞くのが大変楽しみであり、喜びでもあるのです。
そう、もう一度〝生きててよかったぁ~〟と叫びましょう。


室井摩耶子