2007-06-26

演奏旅行日記

 ようやく九州の演奏旅行を終えて帰ってきてホッとしているところです。わが庭は梅雨ざかりで紫陽花がここぞとばかりそのエネルギーを花鞠のまろやかさに力いっぱい押しつけています。そして鮮やかなしそ色のペチニア。まるで掴みつけたように山盛りです。お花屋さんのかどに立って「買えば1万円以上よね」などと値段表を眺めてほくそ笑んでおります。
 九州からの帰りは、3週間前の転倒事故で まだびっこをひいていたのでシルバーシート扱い。羽田空港の端から端まで車椅子に乗せていただきました。でも行きがけに2人乗りのモーター付き車椅子を見ていたので あれが迎えに来てくれるのかと楽しみにしていましたのに、来たのは人力車椅子。野次馬マヤコさんも押してくださるスチュワーデスさんにひたすら恐縮恐縮でした。
でも演奏会は大成功でした。ピアノの音がどんなに違う「ひびき」を出せるかに主題をおいてお話したのですが、お客様は各曲(ベートーヴェン、モーツァルト、ブラームス)がそれぞれの本当に違った音で演奏されたことに感銘を受けられたようです。まぁそう簡単に言いますが、作曲者がその音に込めたもろもろの感情、そして哲学などを読み取って、それを表現するのはピアニストにとってはそう簡単ではありません。けれど音楽会のステージで、実際の音としてこう弾けばこのような音がする。このような音がほしいときはこのように、と目の前で実演するとそれは本当に良くわかることのようです。そして、すぐ後にその響きで物語(演奏)が始まるのですから...。
ベートーヴェンのソナタ“月光”の一楽章など、楽章中に続くあの三連音符がなんという静けさを作り上げていることでしょう。そしてピアニストはその静けさが作り出される“響き”を自分の指先で生み出すのに、本当にデリケートな神経と集中力を注がなければならないのです。それだけに出たその響きに、聴いてくださる方たちが感動してくださったとき、(それはステージにビンビン反応してきます)私は本当に嬉しくてたまらないのです。音楽ってなんて素晴らしいのでしょう!人間万歳!って叫びたくなります。続きはまたこんど…。