2006-10-12

前回の続きを・・・ PART2

「ピアノを弾いているシーンを」ということで私も今夢中になっているモーツァルトのAdagioの楽譜を広げました。モーツァルトは使う音符が少ないので、それで演奏するのが難しくなるのですが、この曲の最初の3つの音など一曲全部の楽曲の思想を暗示してます。どういう響きがその流れを表現するのかお話しながら音を出したのですが、スタッフの皆さんが耳を傾けてうなずいてくださったり笑ってくださったり、ピアノの下にひざをかかえて座り込んでいる助手の方まで眼を輝かして聴いてくださっているのを見て、私も本当にうれしくなりました。
でも皆さん、考えてみてください。7時間のビデオを4分半に縮めるのですよ。
私はちょっと緊張気味だったディレクターが大きいノートを抱えて実に当を得た質問を次から次えと繰り出していたのを思い出します。私も時々インタビューを受けるのですが、質問と答えというものは結構難しいものです。これだけの人数と時間とをかけて制作されるテレビというものに私は今までとはちょっと違った思いを抱くようになりました。
そしてビデオの山を踏み分け踏み分けキャリアを作っていくあの若いディレクターに幸あれと祈りたい気持ちです。

10月21日の音楽会まで、ブログは冬眠します。
皆さんお元気で! お忘れなく。

2006-10-04

前回の続きを・・・

ピン・ポン。
 
さて10時。若いピチピチしたお嬢さんのディレクターを先頭にドドッっと人の群れ、カメラや照明器具の箱などお玄関はいっぱいになってしまいました。テレビの取材って大変なものだなぁとただただ呆れるばかりでした。

取材が始まって私が感心したのはカメラマンのおじさんでした。
(85歳の私が人をおじさん呼ばわりするのは失礼ですが、世の中には「頼りになるおじさん」方がいらっしゃるものです。)
おっしゃること、シーンの設定、その他その他の指示が本当に素晴らしいのです。若いディレクターの方を振り向いて「台本通り動いてくれるじゃない」などとニヤリとなさるところなど、キャリアに裏打ちされた行動は見事に決まっていました。構成のため(といってもOAは4分半)あらゆる条件を考えてそのとき困らないようにシーンを用意する。それもカメラマンのキャリアの厚さを感じさせました。
話の構成は必ずしも予定通りにはいかないものでしょうし、どの方向にいっても困らないというのは至難のわざだと思いました。あとでディレクターが「もう足元にビデオの山ですよ。それも私の宝の山で…」とおっしゃっていらしたのを本当にそうだろうと思いました。
そして感心したのはスタッフの皆さんが若いディレクターをサポートして育てようとしている雰囲気、温かい空気が部屋に満ち溢れている事でした。

次回に続きます。。。